フォルテシモ第九話「夏の劣情VSレグルス」



T都。
その辺境の砂漠化した大地。
「夏の劣情」のメンバー122名と「レグルス」のメンバー145名が対峙する。
「レグルス」のアジトは目と鼻の先だ。
ミナセはナナミ奪還の命を受けた。
テレーゼはモリカワとセンボンギに守られている。
「また後番だぜ。ついてねえな」
モリカワが言った。
「あんま意味無いんじゃない? アレ」
テレーゼが言った。
ミナセが双眼鏡でレグルスの方を見ている。
「ヤマギワにトキノにツブラヤにハヤミにクロヌマっと。幹部は全員揃ってる。
 こりゃ楽な任務になりそうだ。ラッキー」
テレーゼが馬鹿じゃないのかといった顔でミナセの方を見た。
「集中しな皆。そろそろ来るよ」
ミズエが言った。
その次の瞬間、大地が盛り上がった。
「うおお!?」
モリカワが驚いた声を上げる。
剣の様に尖った大地が突き出し隊員を殺傷する。
「トキノか! この野郎!」
ミナセは腕を切られながら体勢を立て直す。
「逝くぞーーーー!」
レグルスの方から声が上がる。
「人間の土地!」
トキノの声が轟く。
大地はさらに形を変え数十メートルの岩の塊が一瞬で隆起する。
隊員達が数十名吹っ飛ばされる。
「イヨ! 俺等が援護するからトキノの糞野郎狙え!」
モリカワが叫ぶ。
「私に指図すんな! ニャンちゃん! やっちゃって!」
「ボオオオオオオオオオン!」
インカニャンバの赤い熱線がトキノを狙う。
トキノは素早い動作でそれを避けた。
瞬間大地の動きが止まる。
「逝くぞ!」
ミナセが全速で走り出す。
目指すはレグルスのアジト。
ライマも一瞬の隙をつき深夜特急でトキノのすぐ目の前に接近する。
「爆音万華鏡!」
その刹那、ハヤミ・ショウが二人の間に割ってはいる。
「水晶の夜!」
一メートル四方の端を結晶のような構造が囲んだ盾をトンファーにぶち当てる。
爆破が全てライマの方向に炸裂した。
ライマの右腕と左足がちぎれる。
「ちくっしょう!」
ライマは一旦体勢を立て直すため深夜特急で自陣に戻る。
ナナとクロヌマ・フユキが斬り合っている。
フユキはかなり使う。
ナナは相当手を焼いているようだ。
かなり主戦場から離れた地点。
ミズエとヤマギワが対峙する。
「暗黒童話!」
ミズエが叫ぶ。
一瞬の紫の閃光の後、
そこら中に轟音が轟く。半径500メートルが焦土と化す。
煙に中、できたクレーターの中でミズエの眼が紫に輝く。
だが其処にヤマギワの姿は無い。
一瞬で500メートルの距離を移動したのだ。
「テレポン『エル特急』! アンタの攻撃は大振りだ! 避けるのは容易い!」
ヤマギワが叫ぶ。
ミズエはかぶりを降ってヤマギワを睨みつける。
再度ヤマギワに向けて飛び立つ。
「さすがにはえーな。でもよ……」
ミズエの天帝妖狐がヤマギワを捉えかけた瞬間……
「ドグラ・マグラ……!」
ヤマギワが叫んだ。
刀のつかの四つの目がミズエを睨む。
その刹那、ミズエの視界が深い紫になる。
「うぐっ……!」
ミズエはそのままその場に倒れ伏す。
頭がまったく働かなくなってしまった。
そうか、これでナナミを……
ミズエは思ったがもう腕が動かない。
「ふははははははははは! スワナイよ! 俺に服従しろ!」
ヤマギワが猛然と突進してくる。
一瞬早く異変を察知したライマがミズエを担ぎ上げる。
爆音夢花火とドグラ・マグラが交差し爆発が起きる。
爆風に紛れてヤマギワから距離をおくことができた。
「ミズエ! 大丈夫か!?」
「あ……日本刀のつかの眼を……見るな」
そう言った後ミズエの意識は途絶えた。
「分かった……」
ライマは呟いてミズエを傍に横たえた。
そして悪鬼の形相に変わる。
「てんめええええ!」
ライマが吼えた。
「落ち着いてライマ!」
フウガが傍に来てライマを宥める。
「フウガ! お前は来んな! コイツは強すぎる!」
「ミズエさんを倒した相手……ライマだけじゃ無理だよ」
フウガが冷静に言った。
「……ちぃっ! 好きにしろ」
そう言って背中をフウガに向ける。
フウガはライマに負ぶさった。
「なんの真似だ!? 笑わせるぜ!」
ヤマギワが嗤った。
「逝くぜ!」
ライマが叫んだ。
戦線を脱したミナセの前にはツブラヤ・アユムが立ちはだかった。
「ちぇー、楽で美味しい任務だと思ったのにな。俺は早く見たいんだよ」
「何をだ下衆野郎……」
アユムが低く呟く。
アユムの後ろの地面から生物が飛び出す。
茶色い表皮の背中に棘が縦列に生えている。
赤い大きな眼を持った爬虫類のような外見をしている。
「バラン……逝くよ……!」
アユムの背中からバランと呼ばれた生物がズムズムと体内に入っていく。
アユムの顔と手と足が変貌しバランの形になる。
「融合型テレポンね……レアものだ……」
ミナセが呟く。
「ギャオエエエエエエン!」
アユムが天に轟く声で啼いた。