「虐めのうた」





逃げろ逃げろ逃げろ。 
安全側に逃げろ。 
逃げろ逃げろ逃げろ。 
自分を消してしまえ。 
ここでは僕無色。 
それが安全側。 
小動物のカモフラージュ。 
逃げろ逃げろ逃げろ。 
それが僕の処世術。 
僕は僕じゃない。違う。 
空気だ。 
僕はあんな風になるのは嫌だ。 
僕は泥水啜っても生きていきたい。 
馬鹿だと嗤うな。 
僕はお前より利口なんだよ。 
お前みたいな溝鼠より利口なんだよ。 
世界がお前を蝕むだろう。 
世界がお前を破滅させるだろう。 
俺は死なない。生き抜く。 
だってそうしなきゃ 
有る可能性がゼロになる。 
ゼロにはならないでって誰かが言うんだ。 
僕はゼロになっちゃいけない人なんだ。 
僕は僕は僕は本当は僕ばっかりなんだ。 
それでも無色を演じなきゃ。 
死にたくない。死にたくない。死にたくない。 
僕に生きる道をください。 
僕はまだ生きてやることが有るんだ。 
世界が僕を虐めても 
世界が僕を否定しても 
僕は世界の味方だから 
僕は僕の敵だから 
消さなきゃ。存在を。 
大人だって何も考えてない 
そんな事とっくの昔に考えるの放棄してるんだよ。 
無様だろう。嗤ってやれ。 
それでも僕は大人の、世界の味方なんだと。 
嗤ってやれ。好きなだけ嗤ってやれ。 
そして疎外されろ。ゼロになれ。 
ゼロになるのは嫌だ。 
僕は何処に行ったって世界の味方だ。 
そう決めた。少し前に。 
それから少しずつ、事態は和らいできてる 
・・・って自分で思ってる。 
これで良いんだ。僕は十人くらい死んだ。 
自分の中の代替わり。これが成長かな? 
もう虐められたくないよう。 
そんな気分。ただの気分。 
そんな希望。 
僕はまだこの世界で生きていける。 
その為に。